✅ Q1. フッ素グリースはなぜ高価なのですか?
A. フッ素グリースが高価なのは、原料・製造工程・性能要求が非常に特殊だからです。
フッ素(PTFE・パーフルオロ系)は、一般的な鉱物油や合成油とは全く異なる化学構造を持ち、
以下の理由から製造コストが高くなります。
🔍 ① 原料(PTFE)が非常に高価
フッ素ポリマーは
-
製造に高度な設備
-
専用の反応プロセス
-
高温・高圧環境での管理
が必要なため、原材料単価が通常の潤滑油の数倍〜十数倍になります。
🔍 ② 特殊な合成油(PFPE・Fomblin系など)を使用
フッ素グリースに使われる基油は、
一般の鉱物油やPAOとは異なり
“完全フッ素化”された特殊合成油です。
これらは
-
高真空
-
高温
-
強酸・強アルカリ
-
プラズマ
といった過酷環境にも耐えるため、原価そのものが高いのが特徴です。
🔍 ③ 製造設備・混練機が特殊
フッ素グリースはPTFE粉末を均一に分散させるため、
通常グリースとは異なる 専用ミキサー を使います。
また、他の油脂と混ざると性能が落ちるため、
設備の洗浄・ライン分離などにもコストがかかります。
🔍 ④ 高温・化学耐性・非汚染など“代替が存在しない性能”
他のグリースでは代替できない特性
-
高耐熱性(250〜300℃級)
-
ほぼゼロ蒸発
-
化学的に安定
-
非汚染(クリーンルーム適合)
-
プラスチック・ゴムと相性良好
が求められる用途が多く、この性能を保証するための品質管理もコスト要因です。
🔍 ⑤ 使用量が少なく、量産効果が出にくい
一般グリースに比べて使用量が少なく、
大量生産しないため量産コストが下がらないのも特徴です。
✔ 結論
フッ素グリースは“材料”も“設備”も“管理”もすべて特別仕様のため、一般グリースより高価になります。しかしその分、高温・化学環境・精密用途では代わりの効かない性能を発揮します。


コメント