1.真空用グリスとは?
真空装置では、一般的なグリスが適さない場合があります。
その理由は、真空環境ではグリスの成分が蒸発し、装置内部の汚染や潤滑性能の低下につながることがあるためです。
そこで選ばれるのが、低蒸発性・低アウトガス性に優れた真空用グリスです。
2.真空環境でグリスに起こる問題
真空環境では、次のようなトラブルが発生する場合があります。
・基油の蒸発による潤滑性能の低下
・アウトガスによる装置内部の汚染
・グリスの硬化や摩耗の進行
・真空性能への悪影響
特に精密機器や半導体製造装置では、わずかな揮発成分でも問題になることがあります。

3.なぜフッ素グリスが選ばれるのか?
真空用途で使用される代表的な潤滑剤の一つが、PFPE(パーフルオロポリエーテル)系フッ素グリスです。 主な特徴は次のとおりです。
・低蒸発性:基油が蒸発しにくい
・低アウトガス性:揮発成分の放出を抑えやすい
・耐熱性:温度変化に対する安定性に優れる
・耐薬品性:多くの薬品に対して安定性が高い
ただし、フッ素グリスであれば、すべて真空環境に使用できるわけではありません。
精密機器向けのフッ素グリスには、フッ素油とPTFEを使用した製品もあります。
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※真空環境での使用には、必要な真空性能の確認が必要です。
👉フッ素グリスはPFAS規制の対象?PTFE・PFPEとPFOS・PFOAの違いを解説
4.低蒸発と低アウトガスの違い
この2つは似ていますが、意味が異なります。
低蒸発とは、グリスに含まれる成分が蒸発しにくいことです。
低アウトガスとは、グリスから放出される気体成分が少ないことです。
真空装置では、どちらも重要な選定ポイントになります。

5.真空用グリスの主な用途
真空用途向けに設計されたグリスは、次のような場所で使用されます。
・真空装置のシール部
・真空中の摺動部・可動部
・半導体製造装置
・精密機器
・研究設備
使用できる場所は、真空度や温度、装置の仕様によって異なります。
6.フッ素グリスとPFAS規制の関係
近年、フッ素系化学物質であるPFASへの関心が高まっています。
フッ素グリスに使用されるPFPEやPTFEは、広い定義ではPFASに分類されます。
ただし、PFASに分類されることと、直ちに使用禁止になることは同じではありません。
日本では、PFOS・PFOA・PFHxSなどの特定物質が化審法で規制されています。
また、長鎖PFCAについても規制が進められています。
そのため、フッ素グリスの選定では、潤滑性能だけでなく、使用国や用途に応じた規制対象物質の確認も重要です。
7.フッ素グリスの選び方
真空用グリスを選ぶ際は、次の条件を確認しましょう。
・使用温度と真空度
・蒸気圧・アウトガス性能
・潤滑する部品の材質
・荷重や摺動条件
・PFAS関連規制への適合性
また、高温の金型や精密摺動部など、真空以外の環境でも低蒸発性が重要になる場合があります。
エムアンドエムのM-MLPTは、PFPEとPTFEを使用した金型用フッ素グリスで、低蒸発性や耐薬品性を特徴としています。
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※真空用途への適合性は別途評価が必要です。
8.まとめ
真空環境では、グリスの低蒸発性・低アウトガス性が重要です。
PFPE系フッ素グリスは、こうした性能が求められる用途で選ばれています。
ただし、真空への適合性は製品ごとに異なり、PFAS関連規制への確認も必要です。
使用温度・真空度・潤滑条件・法規制を考慮したグリス選定が重要です。
🔵 適正量と適切なグリース選定が重要です。
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