1.PFAS規制に関するお問い合わせが増えています
最近、当社にもフッ素グリスのPFAS規制に関するお問い合わせが増えています。
特に多いのが、次のようなご相談です。
・PTFEやPFPEはPFAS規制の対象になるのか?
・今まで使用していたフッ素グリスは使い続けられるのか?
・PFOS・PFOAなどの規制対象物質は含まれていないか?
・今後、代替グリスへの切り替えが必要になるのか?
こうしたお問い合わせが増えている背景には、国内外で進むPFAS規制の強化があります。
2.なぜ今、PFASに関する問い合わせが増えているのか?
日本では、2026年5月22日に化審法施行令の改正政令が公布されました。
この改正では、長鎖ペルフルオロアルカン酸(LC-PFCA)とその塩・関連物質などが第一種特定化学物質に指定され、2026年11月22日に全面施行される予定です。
また、EUでもPFASを幅広く制限する検討が続いており、潤滑剤も検討対象に含まれています。
こうした動きを受けて、金型・自動車部品・半導体・精密機器などの製造業では、取引先から化学物質の含有調査や規制適合性の確認を求められる機会が増えていると考えられます。
3.PFASとは?PTFE・PFPEとの違い
PFASとは、多数の有機フッ素化合物の総称です。
フッ素グリスに使用されるPTFEやPFPEも、広い定義ではPFASに分類されます。
ただし、物質ごとに性質や用途が異なります。

|
物質 |
正式名称・代表例 |
CAS番号(代表例) |
主な用途・特徴 |
日本での規制状況 |
|---|---|---|---|---|
|
PTFE |
ポリテトラフルオロエチレン |
9002-84-0 |
フッ素樹脂。グリスの増ちょう剤・固体潤滑成分 |
PTFE自体は化審法で一律禁止されていない |
|
PFPE |
パーフルオロポリエーテル |
製品・構造により異なる |
フッ素系合成油。高耐熱・耐薬品グリスの基油 |
PFPE自体は化審法で一律禁止されていない |
|
PFOS |
ペルフルオロオクタンスルホン酸 |
1763-23-1 |
泡消火薬剤、めっき処理など |
第一種特定化学物質 |
|
PFOA |
ペルフルオロオクタン酸 |
335-67-1 |
フッ素樹脂製造時の加工助剤など |
第一種特定化学物質 |
|
PFHxS |
ペルフルオロヘキサンスルホン酸 |
355-46-4 |
泡消火薬剤、撥水・撥油処理など |
第一種特定化学物質 |
|
LC-PFCA |
長鎖ペルフルオロアルカン酸。代表例:PFNA、PFDA、PFUnDA |
PFNA:375-95-1、PFDA:335-76-2 |
表面処理剤、撥水・撥油用途など |
2026年11月22日から第一種特定化学物質として全面施行予定 |
規制状況は2026年10月28日時点。用途例には過去の使用例を含みます。LC-PFCAの指定範囲には塩・関連物質についても規定があります。
現在の日本の化審法では、PTFE・PFPEそのものが一律に使用禁止となっているわけではありません。
ただし、フッ素グリスに規制対象物質が含まれている場合は、別途規制の対象になる可能性があります。
特に2026年11月22日からのLC-PFCA関連規制では、対象物質が使用された潤滑油なども輸入禁止製品として指定されています。
そのため、フッ素グリスを選定する際は、PTFE・PFPEの使用有無だけでなく、規制対象物質の含有状況や輸出先の法令を確認することが重要です。
4.フッ素グリスは規制対象になるのか?
結論として、PTFEやPFPEを使用したフッ素グリスが、現在の日本のPFAS関連規制によって一律に禁止されているわけではありません。
PTFE・PFPEそのものと、PFOS・PFOAなどの規制対象物質は区別する必要があります。
ただし、フッ素グリスに規制対象物質が含まれる場合は、規制の影響を受ける可能性があります。 また、EUなど海外では今後の規制動向にも注意が必要です。
そのため、フッ素グリスの選定では、規制対象物質の含有状況と使用国の法令を確認することが重要になります。
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5.PFASフリーとPFOS・PFOAフリーは違う
ここは特に注意したいポイントです。
PFASフリーとは、対象とするPFASの定義によっては、PTFEやPFPEも含まないことを意味します。
一方、PFOS・PFOAフリーとは、それらの特定物質が含まれていないことを意味します。
そのため、PTFE配合グリスについて、PFOS・PFOAが非含有であることを確認できても、無条件に「PFASフリー」と表示することはできません。
製品の成分情報や規制対象物質の含有状況を正しく確認することが大切です。
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6.フッ素グリスを選ぶ際に確認したいこと
今後は、潤滑性能だけでなく、化学物質規制への対応も重要になります。
特に次の点を確認しましょう。
・PFOS・PFOA・PFHxSなどの含有状況
・LC-PFCAとその関連物質への該当性
・日本・EUなど使用国の規制
・顧客が求める化学物質管理基準
・代替グリスが必要な場合の耐熱性・耐薬品性・潤滑性能
なお、規制対象物質の含有状況については、SDSだけで確認できない場合もあるため、必要に応じて原材料メーカーへの確認が重要です。

7.まとめ|PFAS規制とフッ素グリスは分けて考える
PFAS規制が進んでいるからといって、すべてのフッ素グリスが使用できなくなるわけではありません。
重要なのは、PTFE・PFPEと規制対象となるPFOS・PFOAなどを区別することです。
日本国内の規制だけでなく、今後のEU規制や顧客からの含有調査にも対応できるよう、製品ごとの成分情報を確認しておくことが大切です。
フッ素グリスは、潤滑性能と法規制の両面から適切に選定することが重要です
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